2019足利薪能・狂言と散策の記憶
栃木県足利市で行われた足利薪能・狂言を見にいってきました。
足利には、山姥切国広展の頃に行って「また行きたい」と思っていたものの、行く機会がなく…
今回、日程的な余裕があったことに加えて、薪狂言で前から見て見たかった演目があったので行くことをきめました。
チケットは、足利市文化協会から2日分のセット券を先行予約でとりました。
予約をしたのが5/17で、ホームページには、システム的にダブルブッキングしちゃった場合は電話連絡するようなことが書いてあったので心配しながら待ち、代引きでチケットが届いたのが6/29のことでした。
S席といっても、中正面の位置の更に後ろに作られた区画の席だったのですが、目付柱が竹ないし竹っぽい何かで、そこまで太さがなかったので、比較的よく見えました。
後ろのほうはかなりしっかり目に段差もつけてありましたし。
席からの視界はこんな感じです。(火入れの儀式の場面のみ撮影可でしたのでそのタイミングで撮影)
背景の松、おわかりいただけます?通常松の絵がある場所に、立派な松が生えているんです。とても素敵。
座席はパイプ椅子なので、次に行く人には観劇用の薄いクッションをお勧めしたい…若干しんどかったです。
二日間とも、開始前に解説が入ったので、予習なしでも全くわからないということはないと思いますが、しておいたほうが理解できる部分は多くなるかと思いました。
土曜日の薪能は、大田楽というとても華やかな演目からスタートしました。
中国の影響を受けてそうなお装束と、祭囃子のような笛と太鼓、掛け声、激しいステップを含む足の動きがあって、とても華やかでした。
一部抜粋での上演だったみたいなんですが、とても楽しく見れました。
舞囃子と仕舞は、あんまりよくわからなかったものの、殺生石の仕舞は動きがなんとなくわかる感じだったので、通常の能がちょっと気になりました。
狂言は文荷。恋文を運ぶように命じられた従者たちが、手紙をおしつけあいつつ運び、更に中身を見てしまう、というようなあらすじの作品です。
台本が、国会図書館のデジタルコレクションに入っているんですけど、ちゃんと読むとちょっとびっくり、というやつなんですよね…
和泉流狂言大成. 第4巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
「このことを内儀様がおききなされて、わたしをいこうおしかりなされてござる」
「それは女どもの了見が悪い。女の方へやる文ではなし」
「総じて恋路のつかいをしたらば、きっと曲事じゃと固う仰せつけられてござる」
ということでこの話、女性ではなく「少人」のところにラブレターを届けるお話なわけですね…。
「少人」が指すのって稚児なのか若衆なのかわかんないんですが、男なのは文脈からあきらかなわけで…。
事前に予習していると、聞き取れるところが増えるので、見ているとき、他の方と違うところでもちょっと笑えたりします。
狂言が終わったところで、地域の新成人による、火入れの儀式が行われました。
火入れを行う女性陣、室町頃っぽいお装束でとてもかわいらしい。
(忍たまの女性陣みたいなあれです。)
休憩を挟んで狂言「黒塚」です。
能・演目事典:黒塚:あらすじ・みどころ
今回、白頭ということで、格が上がった形…らしいです。
確かに、鬼女の衣装は検索して出てくるより一段階ゴージャスでした。
上半身が白×光沢ある白の織りが入った小袖で、腰巻の形で光沢のある青の小袖を身に着けた感じ。
ここの記事の鬼女が、多分同じタイプの衣装かなと。
日曜日は、台風が迫る中での上演だったので、会場は雨天用の場所で行われました。
小舞もやっぱりよくわからないものの、海人の小舞はなんとなく気になる感じだったので、こちらも能を見てみたいなと思いました。
一つ目の狂言は悪太郎。
困った酒の飲み方をする甥をおじがどうにかしようとする話。
和泉流狂言大成. 第2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
なんというか…狂言のよっぱらい表現って、うっとおしい感じの酔っぱらい表現する度合いがとてもすごいですよね…
で、この日のメインは茸(くさびら)でした。
屋敷内に茸が生えて困った人が、山伏に祈祷をたのむものの、祈るたびにきのこがどんどん増えていって手に負えなくなるというコメディ話。
これはあらすじさえ分かっていればどうにかなるタイプの演目で、動きがひたすらおもしろいのです。
Kyogen "KUSABIRA"(fungus) - YouTube
今回は、このきのこ役を地域の子供たちが演じるということで、大変かわいらしかったです。しかも子供たちとはいえ、動きがそろっていたのでとても見ごたえがありました。
今回、真面目なスポットへの立ち寄りはちょっと少なめです。
足利学校の資料室、刀がらみの本もあるはずなんですが、普通にがっつり読んだりできる状態のときに遭遇したことがないんですよね…
今回もいろいろ展示スペースになっていまして…たぶん展示に伴って立ち入り制限かかってた区画にあるんじゃないかと思うんですが…
史跡足利学校 - 足利市公式ホームページ
あととは足利の図書館に資料をコピーしに行ってきました。
今回は、ひたすら足利文林をコピー。山姥切展のときにパンフレットの参考資料に、足利文林に掲載された布袋国広についての文が入っていて、気になっていたんです。
郷土の論文集かと思っていたらこれ、昔からの意味の「同人誌」だったんですね…エッセイや詩歌、文学研究に歴史の話と各種取り揃えた本でした。
たぶん軍記系だと思うんですが、長尾氏について書いたものがかなりの号数にわたって掲載されてましたので、そちらも合わせてコピー。
今回は連れを待たせていたので、300円分くらいしかコピーしてないです。今度は郷土本コーナーもあさりたいですね。
足利市立図書館 - 足利市公式ホームページ
あ、足利に行く前に東京国立博物館でVR刀剣を見たのも真面目系に入れていいかな?
足利の市内散策、以前から気になりつつも行けていなかったひなたやさんに行ってきました。
ぎりぎり夏メニューということで、ゼリーポンチ(だったっけ?)を注文。
こちらのお店、ドールオーナーさん含めてウェルカムなカフェで、メニューにはお供用なんてものもあります。
店内の撮影スポットは、私が行った翌週には新たな季節のセットに変わった模様…?
足利★和cafeひなたや
4seasonさんも、看板もちちゃんのいるお店です。
お店としては、ちょっと落ち着いた感じの服とアクセサリーを扱いつつ奥にカフェ、なのですが、革でできたお花のアクセがとてもかわいいんです。
みなさまのおかげで人気の、オリジナルの牛革アクセサリー✨
— 4season (@yuki_4season) May 18, 2018
小花シリーズから、ピアスの色と形とが豊富にできました✨
牛一頭分の大きな革から、花びら1枚ずつカットして、1枚ずつ染めてから形にします✨
暑いので、店内涼しくしてお待ちしております🍀#足利 #4season #遠征キャンペーン #景趣 pic.twitter.com/czuNEGtO4k
しかもいろんな色の組み合わせがあって、お値段もおおむね2000円台~というお手頃価格。
一つお迎えしちゃいました。ラッピングのリボンは、たくさんある中から二色選ばせてくれました。
カフェスペースで、ベリーのかき氷をいただいたのだけど、すこし変わったお味だけど美味しかったです。
4season (@yuki_4season) | Twitter
夜ごはんは蝶やさんでいただきました。
ガチな日本料理店…なのだけれど、山姥切展の頃からすこしずつ店内にもちとねんどろが増えていったお店。
このおもちたちは店にいた審神者のお供だけれど、
この子たちはお店の子です。
今回は単品からアラカルト注文したけれど、次に行くときには「〇〇円でおまかせ」ってやりたいです。
日本料理 蝶や
お宿は高雄さんを利用しました。
ロビーの壁に、提督の方々が反応しそうな写真があるところです。
朝食は、早い時間に行くと簡易バイキング形式、ゆっくり目に行くと個別に盛り付けて出してくれます。
(だけど見た感じ、大きくは変わらなさそう)
ちなみにこのお宿、インターネットは「モデム貸出」です。少なくとも二年前にお借りしたときには有線のを借りる形でした。
そのかわり、自前で無線ルーターさえ持っていけば、wifi飛んでるお宿より安定して使えました。
足利ホテル高雄 | 栃木県足利市 JR足利駅前 格安・人気ビジネスホテル 無料朝食サービス有
今回、いろいろやり残したことがあるので、そのうちまた行きたいのですが、宿題もいくつかできました。
実は、現地で郷土研究方面のヒントをいただいたのですよ。
足利には七福神信仰がある、という話と、足利の近くに修験道の修行場があったという話。
更に、郷土史関連として、足利学校についての本をお借りしました。
国広考察本を書いた時点では正直、郷土史や宗教史方面まで手を伸ばせなかったんですけど、ひと段落した今なら…。
ということで、七福神信仰全般と修験道全般の調査、更にお借りした本を読みこんでからまた改めて訪れたいと思います。
あとね、ばんじゅうを今回も食べ損ねたので行きたい。芋ようかんも話しか聞いたことないからすごく気になるの。織物の展示施設も行ってみたい。