綴虚堂の日々

ヲタの日常

宝塚「誠の群像」(18年)

これを見たのは完全に禺伝からの影響です。
刀剣乱舞禺伝で一文字則宗をされている方が過去に沖田総司を演じた演目があるということで周囲で話題になり、なら見てみようかと。
Amazon.co.jp: 誠の群像(’18年雪組・全国)を観る | Prime Video
私はAmazonで見ましたが、他にもレンタル配信されているところはあるようです。

オープニング一曲目で流れる「新撰組は今日も(京を?)行く」のフレーズ
……!これ知ってる!!
といってもちゃんとしたものを見たことがあるわけではありません。学生時代にどこかのクラスが文化祭でやっていたのです。
(女子校だったので、キーを変えなくていい&当時珍しく映像化のあった舞台作品である宝塚演目は、文化祭の定番だったのです。元が短い分、時間内に収めるのに無理もしなくていいし。時期を考えたらそのとき参考にされてたのは97年版なんでしょうか…?)
とはいえ曲のそのフレーズしか覚えていなかったのですが。

ということで真面目に見ていきます。

ストーリーは、司馬遼太郎の描く新撰組を土台に、主要な隊士とオリジナル人物含めた女性達との交流を描いています。
心情描写などでアンサンブルさん含めた日舞やバレエが入ってくるのは、さすが宝塚という感じで見応えがありますし、お歌も安心して聴いていられます。
ただこう、正直単独で、何の文脈の載らない状態で見たら、演者さんは素敵だけどもシナリオはちょっと……と評価することになるやつかと思います。

新撰組設立すぐから五稜郭までやるのに一時間半ではとうてい時間が足りません。
で、短いシーンがぶつぶつと繋がっているので、時系列がどうなっているのか、なぜそんな場面になったのかがわかりにくい。
比較的長期間を描いた新撰組ものをなにか履修していないと、今どうなっているの?となる気がします。
風光るでもピスメでもいいです。刀ミュの天狼&むすはじだけだと、土方・近藤・沖田周りはいいとして芹沢・山南周りで???となる可能性が)


ただこう、禺伝を見た審神者にはめっちゃ効く。
だって、きらっきらしたお顔で菊一文字を抜いて語る可愛らしい沖田総司ですよ。別の場面で可愛らしいのに酷薄な姿も見せるのでそのギャップも来るものがあるのですが、なによりまず可愛らしい!
(宝塚方面の方に向けて説明をしておきますと、菊一文字という単語は定義がめんどいんですが、一文字則宗の刀に対する俗称と思っておいてもらえれば。そして刀剣乱舞において「沖田総司菊一文字を持ったという話は、だれかが付け足したかったつくり話」とイベント回想で語られているのです)
禺伝の則宗さんとは全く別方向の声だし、役者さんの幅ってすごいなあと思いつつ、それはそれとして…

あと、審神者には、偽の虎徹の下りも効く。


多分本来は、演者さん推しの心で「あの人が素敵なことやってる場面がいっぱい」って楽しむための作品だと思うんですが、審神者にとってはいろいろな文脈を重ねた上で情緒をやられる作品でございます。
本来の楽しみ方ではないのを承知の上でおすすめいたします。