綴虚堂の日々

ヲタの日常

Webイベント「本丸情景集」のふりかえり

恋愛・性愛を主題としないとうらぶWebオンリーを、ほとんど勢いだけで開催しました。
この計画段階で「うちのジャンルでも欲しい」というご意見を目にしたので、次にやろうとするどなたかの参考になるかもということで記録を残しておきます。

主催の立ち位置と運営方針

主催は普段、刀剣調査方面と、がっつり恋愛・性愛主題の二次創作のあたりで活動をしています。
そのためこの企画のメインターゲットとなる「恋愛・性愛を主題としない二次創作」の領域に対しては、解像度があまり高くありません。
(読むほうはBLでも夢でも美味しくいただくタイプですが、日頃から恋愛以外作品のコミュニティに接しているわけではないため、恋愛でない作品はたまたま目にした分しか遭遇できておりません)
とはいえ、調査方面という「確実にカップリングでなく、オールキャラとも誰々中心とも付けがたい領域」の不便さは身にしみて知っていますし、そこを改善すべくアンソロとWebイベントを継続開催しておりますので、そこからの活動の延長として企画を行いました。

そして主催、調査方面のwebイベントを現在年2、アンソロを年1で行いつつ破廉恥本を書きつつという調子ですので、新たな企画は省エネ運営方針です。そうでないと回せません。
省エネ運営で済ませるための仕組みづくりは頑張るけれど、ある程度運営が落ち着いたら「場所は用意したからあとは好きにつかってね」程度の運営を行いたいと考えています。
そのためには、「判定条件は明確に」「明確でない条件の場合、広く許容する方向に倒す」というのを、企画について何か決めるときの方針としました。

企画趣旨

当企画の企画趣旨図はこちら。(似たようなくくりのイベントを開催したい方がいらっしゃいましたら、真似て作図していただいて構いません)

恋愛メインでない作品を一括で検索するタグ・ワードがなく不便だから一度に見れるようにしよう、というのが最初の発端ではありますが、「カップリングなし」ともちょっと違うのです。
登場人物ふたりの関係性を描く作品の場合、たとえその関係性が恋愛でなくとも便宜上カップリング/夢表記が選択される場合があります。
(強い友愛、主従関係、幼児と誰かの関係性などは、非カップリング作品として投稿される場合と、カップリング/夢作品として投稿される場合があります)
そういった作品も含めて対象としたいと考えました。

そして、どこまでを許容するのかと考えたとき、境目はどうしてもグラデーションが発生するものです。
性関係のない便宜上のカップリングの場合、「あなたが〇〇×△△だと思うのならそのカプなのです」とよく言われますので、考え方としては同じラインで「あなたが恋愛・性愛を主題とする作品でないというならその判断を尊重します」としました。

ただし、「恋愛・性愛を主題としない」という説明に対し「カップリングなし」を期待する方もいらっしゃるでしょう。
そこは企画内でタグを分離することで対応することにしました。
このタグの必須条件については、ある程度機械的に対応できるよう「便宜上であってもカップリング表記/夢表記がある場合」「作中に、恋愛状態のキャラクターが存在する場合」「倫理面や残酷描写によりR18指定が適切な場合」としました。
(この図を用意できるところまで思考がまとまったのが、募集開始後であったため、それ以前に意図が伝わりきらず混乱された方がいらっしゃいましたら申し訳ありませんでした)

その他の制限

とうらぶは派生作品が多々ありますが、その一部に関してはニトロプラス内二次創作ガイドラインで対象外であることが明記されています。
当企画において、それらについては言及程度のものや調査研究対象とする場合を除き不可としました。
(対象外と明記されていない作品について問い合わせても許諾がでないという伝聞は目にしたことがありますが、企画としてのラインは明記の有無に置きました)

企画としての制限として、今回はマンガ、小説、詩歌、ゲーム、評論情報という区分を設け、そこに該当しない作品については初回開催では参加不可としました。
これは完全に主催都合による制限です。
この企画は勢いだけで立てたため絶対粗があります。
ですので初回開催でそのあたりを検討して次に行きたいわけですが、イラストやコス、クラフト方向を含めると物量と傾向的に検討の限界を越えると判断しました。
区分の制限については二回目以降で改める前提です。

キャラクターの設定変更、独自キャラクター、舞台設定変更については、当企画において一切の制限を行わなず、また注意事項表記を求めない方針としました。
独自要素というのはストーリーを作る上でどうしても入ってくるものであり、もし何かしらを求めるにしても「どこから」を対象とするかの判断が曖昧になるるためです。
主催としてはそこに制限をかけて萎縮を招くより「その発想はなかった」が増えてほしいと考えます。

使用システム

今回は、とらのあなWebオンリーのサークル参加型(マルシェタイプでないほう)を利用しました。
このシステムではイベント概要ページ、サーク一覧ページ、作品一覧ページが用意され、イベント開催時間になると個別作品のリンクが繋がるというものです。
(皆に知られているシステムだと、エアブーさんに作品一覧を追加した感じに近いです)
つまりイベント開催時間から使えるリンク集で、普段から検索性の高いジャンルだとイベントらしさがあまりないと不評です。
が、今回は普段探しづらいものを探しやすくする企画ですので、意義は充分であると考えます。
とらのあなWebオンリーは、登場当初はとら委託品、無配・展示、おしながきしか登録できませんでしたが、今は外部リンクでの頒布先を登録できます。
QAで他の頒布先についていいよともだめだよとも書かずに逃げているわけですが、その機能が追加されたということでオッケーとみるべきところでしょう。

メリット
・無料で使用できる
・イベント終了後もしばらくの間はリンク集として使用可能である

デメリット
・とらに委託していない方の参加には、心理的ハードルが発生する
・作品のデフォルト表示順が、とら委託品→展示品→とら以外での頒布品となる
・前々から計画したイベントであっても、一定期間前になるまでページが作成されない

カップリングオンリーのように、普段その区分をメインジャンルとして活動している方をターゲットにした企画の場合には500円~1000円程度の参加費は負担にならないと思いますが、たまたま一作品だけ書いた方や、だいぶ前に書いたものが残っている方にも来て頂きたいと考えたときに無料であることは大きなメリットだと考えます。
(とらさんのシステムである以上とらさんへの委託品が売れればシステム側メリットもあるので、無料である後ろめたさも特にないですし)

なお、とらのあなWebオンリーには、イベントマップが用意される「マルシェ型」もあります。
今回の企画時点でマルシェ型の挙動がいまいちわからなかったこと、上限サークル数が100だったことがあり、選択しませんでした。
が、上限がだいぶ上がったこと、イベント終了後もリンク集として使用できるメリットは変わらないことから次回以降検討します。
(サークル参加型→マルシェ型にすると、イベント開催期間の上限が48時間となる、参加リミットがイベント開催3日前となるというデメリットもあります。あとマルシェ型はおそらくどこかのタイミングで有料化されると思われます)

企画準備①イベント名称の決定とイベント用画像作成

一番大変だったのはここだと思っています。
企画名「本丸情景集」は、とうらぶジャンルであるとジャンル内の方に伝わること、特定のキャラクターやカップリングを想起させないことという方向でつけました。
〇〇パロ系の方が参加しづらいタイトルになってしまったことについては反省点ではあるものの、当方では改善しきれない部分でございます。

企画名がふんわりした分、アカウントは「ToloveNotEros」とある程度直球の意味合いになるようつけました。
(準備段階の一番最初のときには、非公開でNotLoveとしていたのですが、Loveの全てを否定したいわけではないので、あくまでEros:情愛でないもの、という形に)

とらのあなwebオンリーで企画を作成する際には、1200px*200pxの通販ページ用バナーと、1000px*500pxの告知バナーが必要です。
これは手元にある素材で適当に……(タイトルフォントはMJ-すずむし Std M、素材は花子のアクセント7>花1とチョウです)
ほのぼの日常方面のイメージが強くなりすぎたとは思うのですが、こちらも自力ではどうにもならない部分ということでよろしくおねがいします。

企画準備②SNSアカウントの取得と運用

今回、SNSアカウントとしてX(Twitter)とBlueskyを準備しました。
Blueskyについては、とらのあなWebオンリーのページが公開されたタイミング、開催数日前、開催前日に告知する程度の運用です。

日々の告知はX(Twitter)で行いました。
参加案内を出すと、その都度参加者数が増えていましたので、特にイベントが近くなった後の継続発信は重要ですね。
告知したい時間によっては、予約投稿を設定しました。

公式サイトは作らず、重要な情報についてはtogetterでまとめておくという運用にしました。

企画準備③とらのあなWebオンリー申込

今回の場合、4/20・21の開催に対して3/2に申込を行い、3/8にWebオンリーページを公開いただきました。

サークル参加型の場合、事務的な情報の他に企画に対して設定できるのは「イベント概要」とサイトやSNSリンク等、企画内向け作品タグ(最大30)です。
当初は、この「イベント概要」に説明を記載しておしまいの予定だったのですが、この部分はイベントトップの「主催からのお知らせ」として折りたたまれてしまうので、togetterを併用する形となりました。

作品タグについて、事前の準備時点では「マンガ、小説、詩歌、ゲーム、評論情報」の作品種類タグと、「(CP/夢に関する)注意事項有/注意事項なし」のタグを独立して準備していました。
が、この作品タグは「条件Aor条件B」の形でしか検索できず、「AかつB」や「AかつBでない」絞り込みができないため、組み合わせた形でのタグに改めました。

このタグ部分に少々不具合と思われる挙動があったため、開催後の編集は極力行わない形となりました。
そのため、イベント概要中説明不足のまま・誤解を招く表現でも直せなかった箇所があり申し訳ありませんでした。
(不具合箇所についてはとらさんに報告済です)

開催が進んだ後の反省点として、ここのタグには「主催からのお知らせ」「お品書き」「期間限定公開作品」「ネップリ番号」も必要と考えております。(後ほど改善点の欄で)

企画準備④登録作品の確認

企画開催1週間前、および前日のタイミングで、作品が登録されておらずSNSか匿名メッセージが用意されているサークル様にリマインドメッセージをお送りしました。
これは、情報オンリー開催時にサークル登録だけ行って作品登録を忘れる方がちょこちょこいらしたためです。
今回は無事、ほとんどのサークル様に作品を登録いただけました。

とらのあなWebオンリーのリンクは、通常はイベント開始後に有効になりますが、主催がログインした場合は事前に確認できるようです。
(期間限定公開の設定がされたものを除く)
そのため、カップリング/夢表記がされているのに注意事項なしで登録されている作品がないか、事前に確認を行いました。
混乱はほとんどないことが確認できました。
ただし、期間限定作品は当日まで確認できませんし、途中でこれを行ったあとに作品数が一気に増えたため、未確認作品も多くあります。

上記の確認中、とら委託作品で、全年齢なのにリンク先に飛ぶと、R18向けワンクッションの出る作品がいくつかありました。
そのため、全年齢向けURLの取得方法の案内を出しつつ、当該の方にお知らせをいたしました。

作品登録のリマインドはともかく、後の個別作品の確認は、作品数が増えてくると難しいところがあるかなとは思います。
(今回行った目的は、混乱がないかの確認と、多かったときには案内方法の見直しというところなので、一旦目的としてはクリアです)

ちなみに、たとえばここで確実に企画と関係ない作品が見つかった場合、とらさんの窓口に依頼すると、2~3日くらいで一覧から削除してもらえます。
(過去に別イベントを開催した際に経験しました。)

開催結果

最終的に178サークルにご参加いただきました。ありがとうございました。
当方の想定としては、70くらい集まったら御の字、100を越えられたらいいなあくらいに思っていたので、大変おどろいております。

作品数の内訳は、正確ではないかもしれませんが以下のとおりです。
(イベント開始後も作品の登録・削除は可能なので、集計タイミングによってぶれる可能性有)

こちらは主催想定の3倍くらい登録いただきました。

次回に向けた改善点

・イベント説明の記述改善

とらのあなの開催概要設定時、主催の頭にpixivしかなかったため、それ以外の展示プラットフォームについて使用しづらい状況となっておりました。
Web展示において、使用するプラットフォームの制限はない旨、次回以降記載します。

とらに委託しない場合のリミット(サークル登録さえしてしまえば作品はいつでも登録できるのでリミットはない)や、一般参加の場合に登録がいるのかどうかの案内(不要)など、制限がないから案内しなかったことについて戸惑われている方がいらっしゃったようですので、その部分も改善したいと思います。

とらのあなWebオンリーの作品の見え方についての案内も強化しようと思います。
PCの場合マウスオーバーで作品紹介の最初48字が表示されるので、特に読んでほしいことはその範囲にとか、スマホからだと作品をクリックしないと詳細がわからないし画像のあとに作品紹介が表示されるので、画像だけで内容がある程度伝わるほうがよい、とか。
主催のこれまでの開催経験が、タイトルを見たら内容の想像がつく分野に偏っていたため、留意事項から漏れておりました。

・企画内タグの追加

今回は企画内タグとして、作品種類マンガ、小説、詩歌、ゲーム、評論情報を設定し、評論情報以外については注意事項有と無の2区分を用意しました。
ここに次回は、作品種類イラスト、コス、クラフトを追加しようと考えています。
クラフト分類については、一旦技術家庭科分野の制作物はコス以外全部そこに入ってもらって、さらにその次の回に分類を分割するか検討したいと思っています。
また、注意事項ありかつ1枚で完結する作品、あるいは注意事項ありかつ表紙に該当要素が強い作品について、ワンクッション用画像を使用していただくよう依頼しようと考えています。

要望として、CP方面以外の注意事項についてタグを分けてほしいというものもありましたが、当企画内では対応しません。
主催がその類いの苦手への解像度が低く、条件の設定が困難であること。運営方針・企画趣旨・その他の制限内で書いた通り、基準が明確でないものとなってしまう条件は設定したくないと考えること。タグの上限数が30であるため、作品種類と乗算していくとすぐに数量が溢れることが主な理由です。
また、分離してほしいと要望のあったものの中には、それはむしろ王道人気要素では?という内容もあり、大雑把な分類ではかえって大勢の不満を増しかねないと感じます。
内容に対するきめ細かな区分設定は、狭い範囲の作品をターゲットとする企画向きであるかと思います。

今回の開催では、おしながきの登録時に企画内タグの登録に混乱がありました。そのため次回は「おしながき」の企画内タグを用意いたします。
とらのあなシステム側の「作品タイプ」としておしながき検索も可能なのですが、トグルスイッチの動作がもっさりしているため、企画内タグとして用意したほうが利便性が高いと考えます)

途中で思い立って、テキストでの説明だとわかりづらい企画趣旨の画像やアンケートなどを主催サークルの作品扱いで登録したものの、多くの作品に埋もれてしまいました。
そのため、次回は「主催からのお知らせ」も作品タグとして用意したいと思っております。(参加者の皆様は閲覧オンリーでおねがいします)

また、作品種類タグと併用していただく想定の「期間限定」「ネットプリント」も用意しようと考えています。
今回は、作品登録時に「限定公開設定」をかけてもらったり、作品タイトルに限定である旨を記載していただくよう呼びかけることで、一覧ページで見たときに限定であることがわかりやすくなるようにしましたが、そういう作品だけ先にチェックできると便利だろうという想定です。
(とらさんのシステムは、イベント終了後も作品リンクとして一定期間使用できるため)

・テンプレート類の拡充

今回、企画として用意したテンプレート画像は、「pixiv掲載作品」という大変手抜きのものだけでした。
参加ハードルを下げるため、また作品の探しやすさ向上のため、次回にはテンプレートを増やしたいと思います。

サークルカット:no imageのシンプルなもの/作品傾向の記入欄があるもの
これは、主にテキスト系サークルさんの参加支援用です。

作品画像:書影の周辺に作品傾向を記載するテンプレート、作品傾向と概要を記載するテンプレート
作品一覧内において作品の説明は、クリックしないと表示されないため、表紙デザインとタイトルから内容がわかりづらい作品について興味をひきづらいと感じました。
画像だけでもPRする情報量を増やしていただくべく、補足情報を記入できるテンプレートの用意を行います。
作品傾向と概要を記載するテンプレートは、テキストサークルさんや、注意事項ありかつ1枚で完結する作品、および表紙に該当要素が強い作品のワンクッション用として想定しています。
また、テンプレート以外でのテキスト系作品PR方法として小説ハイライト | 装丁カフェのリンクも合せて紹介をおこないたいと思います。

とりあえず上記は必ず準備するとしつつ、SNS紹介用テンプレートもできたら対応くらいの温度感で…

・各種プラットフォーム上でのタグ「本丸情景集」の使用推奨

とらのあなWebオンリーの作品一覧は、あまり細かな検索には対応しきれません。
booth、pixiv等のプラットフォーム上で、参加作品へのタグ「本丸情景集」を使用推奨することで、そちらのプラットフォーム上での作品の検索性を上げられたらと考えます。
主催としては、次回開催までどこかのタイミングで企画概要の図を掲載しにいきますね。
(とりあえずpixivとくるっぷとxfolioを想定しておいたらよいかしら…?)

改めて、やったことの総括

・名称決定と最低限必要な画像の準備
・Webイベントシステムの申込
SNSアカウントの開設と、日々の案内
・必要な情報をtogetterにまとめ
これだけです。
次回に向けての検討のために、特に気をつけて様子見はしていましたが、本当にそのくらいです。
ということで、他のジャンルでやってみたい方、もっときめ細かな区分設定をしたイベントが欲しい方、ぜひ立てちゃいましょ。
とらのあなWebオンリーの利用者が増えれば、イベントシステムからの流入も増えるだろうと思いますし。