綴虚堂の日々

ヲタの日常

新作歌舞伎「流白浪燦星(ルパン三世)」

銭形警部のビジュアルがあまりによさすぎて、見に行ってきました。歌舞伎版ルパン三世
enterstage.jp

で……ストーリー部分は特別好みというほどでもないのですが、同時代のエンターテイメントとしての歌舞伎という存在を一段理解できたような気がして、たいへん興味深いなと。
ライブ配信が12/23に、見逃し配信が1/8まであるそうなので、気になる方はぜひ見てください。
ということで、以下ネタバレを含みます。/

今回の物語の舞台は安土桃山時代
ルパン&次元は、雌雄一対の剣を盗み出そうとしているが、同じものを唐入りを狙う秀吉(作中では久吉)、そして五右衛門も狙う三つ巴の対立構造になっておりました。
ストーリーのキーアイテムや展開は、なかなかぶっとんでるのですが、そこはまあルパン三世だし、という感じ。

今回「おおっ」となったのは、世情の風刺の部分です。
江戸時代の芸能文化関連の話を追いかけていると、歌舞伎というのは、過去の時代のことでございという体裁をとりつつ、同時代の話をする。そして観客側もそれを了解していたのだ、というような説明を見かけるわけですけど、これまではテキスト上だけの理解だったのですね、
それを体感させられたというか。

たとえば、作中、流行の茶店で休憩するルパンと次元、という場面がありました。
飲み物を運んでくるのは、ぜんまいの音と共に登場する茶運び人形。ルパンの前まで行って「ご自分でおとりください」というようなことを。
それに対してルパンか次元か、最近はどこもこうだ、というような台詞がありました。
見ている側としては、飲食店の皿運びロボットの話をそう表現してるんだなとわかるわけです。
それからもう一つ。
秀吉の唐入り計画を近習がいさめる場面で「民は疫病と貧困に苦しんでいる(からおやめ下さい)」というような台詞がありまして。
台詞の流れとして自然なんですけど、見てる側としては世情にひっかけてるのだと伝わるわけですよね。
そうかー、こういうふうにやるものなのねー、となりました。
新作歌舞伎で私が他に見たことのあるのは、ナウシカ(かなり真面目に原作踏襲)と刀剣乱舞(擬古典な感じ)で風刺成分はなかったので、このすとんとおちる感じは初でございました。

演者さんも流石でございましたね。
ルパン三世の軽薄な口調と、歌舞伎調の台詞を同じ役者さんがやっていて、それでもまるで違和感がないというかシームレスに続いてるというか…。

衣装方面のこだわりもすごいし、面白かったです。
アニメのルパンダイブ時のトランクスにならってふんどしがしましまとか、音声ガイド聞いてなかったら絶対気付かなかったしww

多分アニメのルパン好きな人は楽しいんじゃないかな。
とりあえず気になった方は配信を。