綴虚堂の日々

ヲタの日常

「最低限」の本を作るための手順

文字書きにとって、初めてつくる同人誌ってぶっちゃけ考えないといけないことが多すぎて、難易度が高いと思ってます。
初心者のためのまとめもあるんだけど、それでもやっぱり考える事が多い。

もちろん、いきなり凝ったものが作れる人はそのほうがいいわけですが、最初からそれはなかなか大変、ということで、本当に「最低限」本を作るための手順を用意しました。

印刷所

印刷所によって、受け付けられるファイル形式などに違いがあります。
今回は、ちょ古っ都製本工房さんを利用する前提の説明です。
www.chokotto.jp
ぶっちゃけ、諸手を挙げておすすめと言えるところではありません。
なのですが、「価格がすごくお安い」「最低限の入稿ファイルを作るのが楽」という二点が今回の場合はメリットになるかと思っています。

まずお値段、ページ数が少ない冊子を50部程度印刷するだけなら、ゴージャスなランチ~飲み会みたいな金額で収まります。
クオリティはともかく、一冊単価だけ見たら、大手さんがオフセットで大量印刷する場合に近いくらいまで押さえられます。

入稿ファイルを作るのが楽、こちらが今回一番よいところ。
表紙も本文もpdf形式での入稿ということで、ワープロソフトだけでも入稿ファイルを作成することができます。
また、できあがり寸法の原稿での入稿ができるので、「デザインを凝らないなら」という注記付きですが、ファイルの準備がものすごく簡単です。

ちなみによくないところは「大量に注文すると仕上がりが雑なことがある」「余部が少なく、余部以上の破損品が出ることがある」「繊細なトーン等は再現度が悪い」「原稿チェックが甘い」等。
それでも承知の上で使うくらいにはメリット部分が大きいところです。

前提とする環境

WindowsOSを前提にします。
多分Macの場合は適宜読み替えてもらえばできるはず。
スマホはまたちょっと変わってくると思います。

必要なソフト

必須

場合によってはあると便利

  • プリンタドライバタイプのPDF作成ソフト(CubePdf等)
  • PDFの分割・結合ソフト(CubePDF Page等)

できあがり寸法で本文を用意する

まず、用紙サイズを設定します
一太郎:[ファイル]→[文書スタイル]→[スタイル]を開き、 [用紙設定]の「用紙サイズ」を選択。
ワード:[レイアウト]タブ→[ページ設定]内[サイズ]を選択

行数・文字数はお好みの本に合わせたらよいと思います。
フォントサイズは8か8.5くらいが多いと思いますが、7.5派や9派もいます。お好みで。
フォントは世間的には明朝系がよい人が多い模様。
(私は自分の読みやすさ重視でUDデジタル教科書体を使用しています。個人的に線の太さ均一なほうが読みやすくて)

余白もお好みでよいのですが、本のノド側はのりで開きにくくなるため、少し広めに空けたほうが読みやすいです。
プレゼンアンソロ(A5サイズ本文258p)のときには、最低1.5cm、できたら2cm空けておきたい感じでした。
f:id:waterseed-crown:20200715070249j:plain
こういう奇数ページ・偶数ページで余白をどちらに寄せるかが異なる場合は、ワープロソフトで「見開き印刷」を設定します。
一太郎:[ファイル]→[文書スタイル]→[スタイル]を開き、[用紙設定]の「見開き印刷」にチェック
ワード:[レイアウト]タブ→[ページ設定]内[余白]→ユーザー設定の余白を開き、[複数ページの印刷設定]で「見開きページ」を選択

中身ができたら、PDF出力します。最近のワープロソフトは標準メニューの中にPDF保存機能が入っていることが多いと思います。
一太郎:[ファイル]→[PDF保存]
ワード:[ファイル]→[エクスポート]→PDF/XPSドキュメントの作成を押下し[ファイルの種類]で「PDF」を選択

Acrobat Reader DC で出来上がったファイルを確認します。
[ファイル]→[プロパティ]を選択し、ページサイズ欄が出来上がりサイズになっていること、フォントタブ内に使用したフォントが埋め込まれていること、実際の本文を見ておかしなところがないかを確認します。

本文モノクロの本だけど原稿本文がカラーになっちゃった

プリンタドライバタイプのPDF作成ツールなら、グレイスケール出力モードがついているかと思います。
たとえばCubePDFの場合、印刷時にプリンタとしてCubePDFを選択し、表示された画面の[その他]タブから「グレイスケール」をチェック、「JPEG形式で圧縮」を解除すれば、グレイスケール変換したPDFができます。

余計なページがくっついてきた/予定外のところでPDFファイルが分かれちゃった

PDFの指定ページを削除したり、分割・結合できるソフトがありますので、そういうものを使ってください。
私は最近はJustPDF(一太郎のおまけ)を使っていますが、その前はCubePDF Pageのようなフリーソフトを使っていました。

できあがり寸法で表紙を用意する

ワープロソフトでできあがり寸の用紙を設定し、画像の貼り付けや図形描画、文字枠などを使って表紙をつくります。
このとき、四隅は色も模様もないようなデザインにしてください。
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1ページ目に表紙、2ページ目に裏表紙という状態のPDFにすると、背表紙白の本として作ってもらえます。
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※とはいえ、この形式で対応してくれるところはあんまり多くないと思います。ちょ古っ都さんはこれでいける。製本直送さんは、1ページ目に表紙、2ページ目に本文1ページ、本文最終ページの次に裏表紙という形にしたら出せる

もうちょっと先に進んでみる

塗り足し分のあるPDFを作る

印刷所の印刷物は、少し大きな紙に印刷してから端をカットして仕上げるという手順をとります。
このとき、若干のずれが発生します。
そのため端までかかるデザインの場合は「塗り足し」といって、出来上がり寸よりちょっとだけ大きな原稿を用意する必要があります。
ということで、本文ファイルで塗足し分のついたPDF形式を求められることがあります。
テキストばかりの本なら、基本的にその分だけ余白を紙の外側に追加してあげればよいです。

ちょ古っ都さんの場合、塗り足しは3mmです。
まずは、用紙サイズを縦横ともに6mm足します。
一太郎:[ファイル]→[文書スタイル]→[スタイル]を開き、[用紙サイズ]ボタン押下。[新規作成]→[自由サイズの用紙]を選択し、出来上がり寸+6mmした値を入力
Word:[レイアウト]タブ→[ページ設定]内[サイズ]→[その他の用紙サイズ] 縦横それぞれ出来上がり寸+6mmした値を入力

ワープロソフトの「余白」は、紙の端からの余白なので、紙を外側に3mmずつ広げた分、余白は上下左右それぞれ3mmずつ増やしてください。

PDF出力したときにページサイズが出来上がり寸+6mmになっていたらOKです。
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背表紙+塗り足し分のある表紙PDFを作る

イレギュラーなサイズの用紙設定ができたということは、表紙・背表紙・裏表紙が一体になったタイプの表紙データも作れるということです。
ちょ古っ都さんの場合、見積もりないし注文すると、画面下部に、表紙データに必要な用紙サイズが表示されます。
ということで、上記と同様に、定型でない用紙サイズの設定をして、表紙のデータを作っていきます。

なお表紙データづくりを画像編集系ソフトでやれるなら、印刷所としておたクラブさんもお安く、しかもいろいろ丁寧でよい感じでございます。

もっと格好よくいきたい

ぶっちゃけ私の記事、本当に「最低限」の設定の話しかしてないので、いい感じの本にするための解説はほかの方のところ見てくださいまし。
【2020年版】磯野ー! 小説同人誌作ろうぜー! | ALBA LUNA
CanvaでなんとかしてA5同人誌の表紙を作る|清水|note
#デザイン 同人誌デザインチュートリアル - てんぱるのイラスト - pixiv

ということで、以上!