綴虚堂の日々

ヲタの日常

文楽小鍛治と小狐丸人形

2021/4の文楽公演に行ってきました。
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能の小鍛治は何度か見たことがあったんですが、歌舞伎や文楽にも小鍛治があると知り、気になっていたのです。
そんな中で刀剣乱舞コラボまで含めた情報が流れてきて、これは行かねばとなりまして。

刀剣乱舞コラボということで、小狐丸のパネルが。
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今回、コラボの目玉は文楽人形として作られた小狐丸。
最高にいい男につくってくださった職人さんたちに感謝を…。
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こちらのツイートのツリーに、作成過程のお話がつながっています。

今回とった夜の部は「傾城阿波の鳴門」と「小鍛治」の二本立てでした。
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字幕は小鍛治だけかと思いきや、傾城阿波の鳴門のほうにも。これすごくありがたいですね。
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今回は音声ガイドもお借りしました。
お話の筋だけでなく、みどころやバックグラウンドのお話もしてくださるので助かります。

今回、二列目(一列は空席なので実質最前列)で、オペラグラスなしでも人形の顔が見えるくらいの距離でした。
文楽を見るのは初めてだったんですけども、おもしろいですね。
三人がかりで動かしているから、後ろをむいてしまうと様子がわかりづらくなるのですが、人形でしかできない動きもあり……。

「傾城阿波の鳴門」は、内容を理解しても共感は難しいタイプの物語。
あくまで「昔の感覚はそうなのね」という感じで見るものなのかなと思います。
生き別れた母が娘と出会い、名乗りたくとも名乗れない葛藤と、愛情と、というあたりが見所なのかな。
人形の動きは、歌舞伎の女形を見ているような感じ。とてもなめらかで艶やかでした。
物語のラストには、父親とモブ人形とのチャンバラがあったんですけど、モブ人形が切られて、顔が金太郎飴のように。

「小鍛治」のほうは、能の小鍛治→歌舞伎の小鍛治→文楽の小鍛治という順にアレンジされてきたのだとか。
能のほうの冒頭部、勅使が訪れる場面は省略されて、稲荷神に祈る場面から始まります。
もうね、動きが「傾城阿波の鳴門」とは全く別もの。
その差だけでも面白いものでした。

登場した狐さんはとてもダイナミックでした。
頭は白いのに、お能の黒い狐さんよりもぴょんぴょんする。

舞台上で打たれる刀は、すごくいい色に赤くなっておりました。
そして振り下ろされる鎚、飛ぶ火花
…火花が飛ぶとは聞いてましたけど、めちゃくちゃ派手だし何度も飛びますね??
角度のついた席だったので、黒子さんの腕が見えましたけども、あれ正面から見たらどうやってるかわかんなさそう。

そしてできた刀を確認する狐さん、からのダメだし…!
もう一度向かい合って、その後完成。狐さんは派手に飛びながら帰っていきました。

たぶん古典芸能系の素養があるともっと楽しめるのだとは思いますけども、特になくても楽しい作品でした。