綴虚堂の日々

ヲタの日常

ミュージカル刀剣乱舞『にっかり青江単騎出陣』

今回は配信で視聴しました。
これまで、清光の単騎はストーリーなしのライブ、源氏双騎は曽我物語の語り直しという感じでしたが、今回の単騎出陣はある種刀ミュ本編の一部…
にっかりさんのファン以外の方にもおすすめしたい作品です。

一言で言えば、今回の単騎出陣は、にっかりさんの修行の旅です。
清光や源氏のときには、「単騎」「双騎」といいつつ、刀装さん(バックダンサー)が一緒でした。
けれど今回のものは本当に一人芝居。

舞台上には、能舞台の残骸のセット。
能では、舞台をぐるりと回ったら、次の場所についていることになるとか聞いたことがあります。
この舞台をひとりでぐるぐるとまわる彼は、どれほどの旅をしているのでしょうか。

場面は大きくわけて四つ。
旅の途中、旅立ち、葛藤、帰還。

旅の途中では、「三百年の子守歌」や「葵咲本紀」での思い出が語られます。
拾い上げられた張り扇で語られるのは、物吉貞宗鳥居元忠を演じた伏見城の戦い……
知っている人はそれだけで打ちのめされつつ、知らない人は聞いているうちに意味を悟る、そんな語りでした。
あのあたりの作品群が好きな方と、歴クラには特効かかります……

言葉で嘘はつけても舞で嘘はつけないというミュ本丸。
旅立ちの場面で、彼は主に向かって舞を披露します。
その舞が、ロボットダンスというか、人形振りというか。彼の本質はあくまで刀で、肉体が従なのだなあとわかるもの。
無表情で、無機質で、超人的。
(だからこそ、合間に一瞬だけ見せた笑顔のないしょポーズの破壊力がすご……)


そして葛藤。
強くなりたいと願う彼は、がむしゃらに敵を斬ります。
髪を振り乱し、それでもただひたすらまっすぐに。
それではいけないのだと気づいた彼に、女の声が聞こえます。
実はその声は、彼自身の口から発せられていて…

ここからは、女幽霊とにっかり青江の一人二役です。
女幽霊として登場したときにはもう、綺麗なお姉さんにしか見えないし、そのあとめまぐるしく入れ替わり両方を演じられているのですが…切り替えがすごい!
にっかりさんとしての演技も、それまでとはがらっと異なり、怯えた少年にしか見えない。
振るう刀も、だんだんと乱れて、「振り回す」ような扱い方に代わっていきます。たぶんあれじゃあたっても斬れないやつ。


対話の末、彼は答えを得て、心を定めます。
そして修行のお手紙。

いや、それにしても、ミュ本丸で修行から帰ってきた姿を一番最初にみせてくれるのがにっかりさんになるとは思ってもみなかったですよ??
(いまつるちゃんが修行に出てからどれくらいだっけ…)
極めた姿でのソロ仕様テーマ曲はもう格好いいとしかいえない。


そして、一旦はけてから再登場。
多分カーテンコールですよね?(今回無観客配信を見てるからわかりづらいけども)
歌われるのは、歌合のラスト曲だった「あなめでたや」
この曲、歌詞を追うと、めでたいって喜んでる理由は具体的な何かがあったとかでなく、瑞雲と瑞鳥という吉祥なんですよね。
まだ先行きの見えない中だからこそ、よい兆しがあったからめでたいのだというこの歌が本当に効いてきます。
本当、よいものをみせていただきました。